tinder4

29歳 tinder男 
特にチャットでの会話は盛り上がることはなかったが暇だったので会う流れになった。外回りらしく時間が空いたらしい。文章では落ち着いた感じもありノリも良さそう。
ドンキホーテで待ち合わせ。

「化粧とかしなくていいよ〜」
と言われたが15分でシャワー・化粧を終わらした。スッピンを知らんやつに見せるわけがない。

散歩するにはちょうどいい天気。初めての男に会う前の時間が1番楽しい。
むしろその時間だけでいい。

ドンキに着きそうになる前に連絡
「目印あります?」
「自転車置いてるとこに停めてるよ」
「わかりました〜」

青のスーツを着ている身長168センチくらいの痩せ型の男。なんかまあ少しちゃらそう。29歳ぽくはない。多分あいつだろうな という予想をして、一旦ドンキの中に入りインカメで顔の状態を確認。
「もう着いてる?」
「着いてますよ〜」
「うそ笑 いないんだけど笑」

そらそうだ。ドンキの中にいるからな。
外に出て男に手を振る。
この場で解散でもいいなと思った。

顔が悪いわけではないがどちらかというとモモンガみたいな顔。モモンガ、サッカー部、スーツを組み合わせような雰囲気の男だった。


モモンガ「二日酔い大丈夫?」
「なんとか〜、、眠いですねえ」
「行きたいとことかある?」
「特にないです...笑」
「そっかー笑 じゃあとりあえず走らせよっか」
「ですねえ〜笑」


まあ他愛のない会話をする。
第一印象モモンガだが、話を聞くのもするのもうまい感じがあった。だが、なんとなく違和感を感じていた。直感で。

「仕事楽しい?」
「いやー、楽しいとかないですよ笑 娯楽のためですね 最近はその娯楽もあまり出来てないですねえ〜」
「俺もそうやったんよ、、やけど挫折味わってさ、前まではめんどくさかったことも今ではやりがいになったというか、仕事楽しいんよね」
「はあーすごいっすねー」
「まえはなんつうか、上から言われたことはする。みたいな、 全然やりがいもないしさ、何が楽しいかわかんなかったんだよね。売り上げとか結果とかね、自分の能力とか価値に伴うと思うの。結局出会いとかも自分の人間としての価値を磨いてたら それ相応の相手と巡り合えると思うんだよね。 最近そう思えてさ
仕事も楽しくやれてるんよなあ〜」
「すごいっすね笑  たしかに笑
てか、なんかの生きる美学みたいな本に載ってそうな言葉ですね笑」
「おれ、本読むのも好きやなあ〜! 前みたいに読む時間はないんやけどな」
「ですよねえー、私も好きでした〜」
「結婚とか考えたりするん?」
「まあ、考えないこともないですけど年々薄れていってますねえ〜」
「結婚もね、まず自分自身をちゃんと把握するところからしないと結局相手のことも理解できないし破綻するんよね」
「    」
「おれさ、妹に言われたんよ。自分が幸せになんないと相手も幸せに出来ないんよにいちゃんって笑  その時は何も思わなかったんだけどさ 2ヶ月後に離婚したからね笑  あ、ここだけの話つうか、そうでもないか笑  俺バツがついてんの笑」
「え!? そうなんですか笑 」

(いやあーこんなクソお喋りモモンガいきがり野郎と結婚とか無理無理)

「俺人生それまで挫折もなくてさ、まあこう見えて友達も多いし順調だったわけ笑  離婚したときさ、まじで病んだよね笑 深夜徘徊とかもしちゃってさ笑  いやー、でもさ、あの時があるから自分自身を見直してさ 今こうやって変われてると思うんだよね〜」

「        」

私はこの間座席を倒し目を瞑って聞いていた。誰がみても失礼な態度である。